重要判例及び裁決例
このコーナーでは、みなさんの今後の適正納税の実践に必要な判例や裁決例を掲載して行きます。
bP 益田市畜産組合上告事件 

●1、平成15年10月8日掲載

当方のホームページをご覧の方からメッセージを頂きました。
それが、ほんとびっくりなんですが、お父さんが島根県松江市で
公認会計士をされている山根さんからの情報提供でした。


なんと、山根治公認会計士(当然、税理士)は、検事と国税局員から
強制調査をされ、脱税の容疑で逮捕・勾留され、当初40日間は執拗
な担当検事の誘導尋問、誤導尋問を繰り返されました。山根会計士が
脱税容疑の否認を続けていると、保釈にも応じてもらえず、検事が一方
的に犯罪者と決め付けて、刑事裁判の検察側の立証が終わるまでのなん
と291日間勾留されたたのです。


なんと、悪辣極まりない検事であろうか。

現段階では、18件の公訴を提起され、一審及び控訴審を通じて11件
の公訴事実が無罪となって確定し、7件の公訴事実について有罪の判決
が言い渡された段階の模様です。そして、完全無罪を主張するために平
成13年6月12日に最高裁に上告されています。


とにかくひど過ぎますね。山根会計士さんは「徴税の代行機関」のよう
な会計士ではなく、納税者の権利を主張する会計士だったので、国税局
や検察から見た「不都合な存在」と捉えられ、この存在を抹殺するため
なら、捜査や証拠に多少の欠陥があったとしてもやむを得ないといった
検察側の思いあがりがあったのだ、と担当の中村寿夫弁護士が感想を述
べていました。


山根会計士さんが、本当に脱税をしていたのであれば、ここで取り上げ
る必要もないのですが、刑事事件でも11件が無罪となっているのです。
そして、平成15年3月11日に国税不服審判書は課税庁の処分を全部
取り消す裁決を下したのでした。なんと、本税や過少申告加算税・重加
算税・延滞税・地方税等を合わせると20数億円にものぼる税務署の処
分を全部取り消したのです。


つまり、税法的には、脱税どころか、税務署の処分が100%間違って
いたことを国税不服審判所が認めたんです。税法の権威者の一人である
北野弘日本大学名誉教授は「税法学への無知から生じた不幸な事件だ。
税法学的には冤罪だ。」とコメントされています。


後日へ続く・・・

なお、中村弁護士さんのHPは、http://ww35.tiki.ne.jp/~club/です。


●2、平成15年10月10日掲載

この「益田市畜産組合上告事件」資料集を刊行された中村寿夫弁護士さ
んの、資料刊行にあたって事件の概要をまとめられた資料をみてみます
と(A4版
17枚)、山根公認会計士さんは、税務署の代理人的な公認
会計士(税理士でもあります)でなかったため、検察庁や国税局から目
をつけられており、社会的に抹殺してやろう、との意図が見える事件だ
と中村弁護士さんは言っています。


 事件は、山根公認会計士さんが、事件に登場する土地の賃料の支払を
請求する裁判を起こされて、その相手方が「土地の売買は仮装だ」と裁
判中に証言したことを、広島国税局が目をつけて、平成5年9月に山根
さんが代表の会社を「強制調査」したのでした。いわゆる「査察」です
ね。


「強制調査」とは、脱税の証拠を見つけて、法人税法(この場合は会社
なので)違反容疑で検察庁に刑事告発することが目的なんですね。で
も、平成8年5月の告発できる時効満了が迫っても刑事告発しなかった
んです。

 その後、平成8年1月に、松江地方検察庁(以後、松江地検)は、最
高検察庁と広島高等検察庁の決裁を受けて、広島国税局の職員と広島地
検や応援の検事を含め数十名の職員を動員して、「強制捜査」に着手
し、山根公認会計士さんとその事務所の職員さんとクライアントの組合
の組合長を、土地の仮装売買による脱税目的ではなく、別件で逮捕した
のでした。


 山根公認会計士さんは、クライアントの組合の所有する地が、空港建
設にともなう収用で42億円で買収されることになり、その売却資金で
代替資産(変わりの土地)を買い、税法の特典を使って税の繰り延べを
していたんですね。そして、山根さんの会社が、組合が土地を購入する
際の仲介に入っていたんです。そして、その土地代金の一部を売主から
預って、組合にお金を貸していたんですね。


 このように、山根さんの会社が組合の土地の購入に関する取引にから
んでおり、土地の売主が、「土地の売買契約は仮装だった」などと、賃
料支払請求の裁判で主張したものだから、広島国税局が注目した訳で
す。そして、査察に入ったけれども刑事告発できなかったんです。当
然、組合の申告については、更正処分が行われており、広島国税不服審
判所に不服申立てをしていたんですね。


 それで、土地の売買について、仮装契約であるかどうかは、まず、土
地の賃料の民事裁判で争われたんですが、契約の実体があり、仮装契約
ではないとの判決が下りたんです。これは、広島国税局が「査察」に入
る前の判決なんです。それでも、広島国税局は、松江地裁の民事裁判の
判決を無視して、裁判で退けられた相手方の主張に飛びついたんです
ね。そして、平成5年9月に「査察」に着手したんですね。裁判で退け
られた相手方の主張を取上げるとは、法律を無視した行動であり、裁判
所の判決など広島国税局は関係無いと考えたのでしょう。


 山根さん・山根さんの事務所の職員さん・クライアントの組合の組合
長さんは、平成8年の「強制捜査」で、公正証書原本不実記載・同行使
罪および法人税法違反容疑で、松江地検に起訴されました。既に、平成
5年の民事裁判で、土地の売買は有効だとの判決がおりて確定している
にも拘わらずです。


 この刑事事件としての展開が、非常に問題が多いと思いますが、この
事件は、平成13年8月31日に最高裁判所に上告されていますが、平
成15年3月11日に、広島国税不服審判所は、組合に対する「青色申
告承認の取消処分」を取消し、同時に平成8年3月25日付けで行った
法人税等の各更正処分を及び各賦課決定処分の全部を取り消す旨の裁決
を行ったのです。

 税務関係については、やっと、組合が行った代替資産の取得は、仮装
ではなく、適正なものであり、税を不正に免れたことにはならないこと
を、国税当局自身が認めて課税処分の全てを取り消したのだ、と中村弁
護士さんは述べています。


 さあ、なにがなんでも山根公認会計士さんを社会から抹殺しようとし
た、広島国税局の姿勢が読み取れますね。また、税法学的冤罪をかぶせ
られた場合、山根公認会計士さんのように頑張れるでしょうか。しか
し、頑張るしかないのですよね。土地の売買が仮装か否かは、民事裁判
で審理され判決も確定しているのに、「査察」「強制調査」が行われ、
山根さんは検察の立証が終わるまでの291日間も勾留される「人質司
法」の犠牲になられたのでした。


 広島国税局は、刑事告発はしなかったものの、更正処分はしているん
ですね。


 でも、更に大きな問題は、検事と裁判官です。ヒドイの一言です。そ
れは、単なる勘違いで申告書を見ればすぐ分かるミスや貸倒損失計上の
ミスが、脱税を目的とした刑事罰(懲役刑)を与えて相応しい罪だとし
て検事は起訴し、高等裁判所の裁判官も「そうだ」と判決をだしたので
す。あきれてものが言えないとはこのことです。みなさんも、この事件
の内容を読まれれば分かると思います。


やはり、権力者は、自分の権力にまかせて、自分の思うままの結果に強
引にもって行くものなのですね。しかし、その権力者の横暴に怒りをお
ぼえるのは私だけではないと思います。


みなさんも、この事例を通して、権力の横暴から自分の身を守るにはど
うしたら良いか考えてほしいと思います。


3、(平成15年11月5日掲載)

 さて、益田市畜産組合事件の概要をご紹介します。

内容は、中村弁護士さんのホームページからダウンロードした資料の要
約版です。原文を読まれたい方は、是非、中村弁護士さんのHPからダ
ウンロードしてみてください。(
http://ww35.tiki.ne.jp/~club/

 まず、平成元年頃、島根県益田市の石見空港の建設に伴い、組合の所
有する土地が42億円で買収することになったのです。そして、組合は
その頃から山根公認会計士さんに税務相談を持ちかけていたんです。ち
なみに、平成元年2月頃から平成2年12月頃までの間に収用にて買収
されていたのです。「収用」とは、国とか県が公共的な事業のために土
地の買収を進めることで、売却しないと言っても強制的に公の利益のた
めに買収させられてしまうんですね。ですから、5,000万円の特別
控除や替わりの資産を買うと、買収された土地の売却益を減らせる特典
がついているんです。特別控除は個人でも法人でもありますし、買い替
えによる課税の延期の特典は、個人は一定部分は売買がなかったものと
みる特例があり、法人にも同様の特例が認められています。この場合の
法人の特例を圧縮記帳と言います。


 そして、平成2年の4月に収用にて資金を得た組合は、千葉県にある
水産加工会社の陸中物産の所有する土地(千葉の土地)を購入し、収用
の圧縮記帳により売買益を繰延べる特例を使って節税したのでした。こ
の千葉の土地の売買に際し、山根さんの主催する会社が仲介業者として
入っていたんですね。その時の報酬も莫大な金額に昇ったのです。

 通常、不動産会社の仲介手数料は、買い手や売り手の一方から3%+
6万円を上限に貰えるようになっており、売り買い両方を見つけてくる
と両方から報酬が貰えるのです。千葉の土地の売買代金は16億5,0
00万円で、その3%4,950万円となり、両方からですと9,90
0万円程になります。巨額ですが、何も違法なのではありません。不動
産仲介業者の報酬規定の上限ですし、特に、理由がない場合は3%
+
万円の仲介手数料が支払われているようです。もっとも、今現在は、多
少のディスカウントがあるかも知れません。

 山根公認会計士さんは、250件ほどの顧客を持っておられ、他にも
財団法人の理事長やらこの不動産会社やらを経営されており、いわゆる
成功した会計人と言えるでしょう。おそらく、山根さんの成功が公務員
達の嫉妬の感情を助長させたのではないかと思います。


 さて、この千葉の土地の売買代金ですが、土地の売主の陸中物産は、
当時、資金的に困っておらず、土地の売却代金の内12億5,000万
円を山根さんの主催する法人に預けることを了承し、6年後を目処に返
還するようにしていました。そして、山根さんの主催する法人が、預っ
た12億5,000万円の内組合に10億円を運転資金として貸し付け
ていたのでした。

 6年後には、組合は千葉の土地を売却して資金を作り、10億円を山
根さんの主催する法人に返還し、山根さんの主催法人は、預っていた残
金2億5,000万円と一緒に陸中物産に返還することになっていたの
です。この資金の貸し付け(預託)を同時に行ってしまったために、後
に、陸中物産の千葉の土地の売買は仮装だ、などと誤解されてしまう、
いや、因縁をつけられることになるのです。


 組合は島根県にありますから、この千葉の土地は、組合が自分で直接
利用することはできませんね。それで、千葉の土地の売主である陸中物
産の関連会社に賃貸されることになったんです。さあ、この土地の賃貸
がスムーズに進行していれば何の問題もないのですが、陸中物産の関連
会社が千葉の土地の賃貸料を払わなくなってしまったんですね。


 そこで、組合は、陸中物産の関連会社に賃料支払の民事裁判を松江地
裁に起こしたのです。つまり、陸中物産と関連会社の両社の社長(同一
人物)と山根さんとトラブルが発生し、山根さんの主催法人に預けてい
た12億5,000万円をすぐに返せと求めたり、千葉の土地の賃料を
支払わなくなってしまったんです。そもそも、お金の賃貸ですから、一
旦貸した以上は、決められた金利を支払わないとか、何か理由がない限
りは、期限まで返す必要はないですし、借りた方からすれば、約束した
期限までに返済すれば良いのであって、組合に貸してしまった以上、返
済期限の前にお金がある訳がありません。そんなことは、陸中物産と関
連会社の社長も百も承知していたはずです。


 そして、その社長はこともあろうに、土地の賃料の裁判で、自分を有
利にするために、千葉の土地の売買は仮装だった、などとウソの証言を
したのです。しかし、松江地裁民事部(裁判所にも担当部署があって、
刑事事件を担当する部署を刑事部・民事事件を担当する部署を民事部と
いうみたいです)は、千葉の土地の売買契約も賃貸借契約も実体があっ
て有効だという判決を出して、組合側が勝訴したんですね。この松江地
裁民事部の判決が平成5年9月20日のことです。


 さあ、これからが問題です。松江地裁が千葉の土地の売買は実体があ
り有効なものであったと判決を出したその月内に(つまり、平成5年9
月中)、広島国税局は訴訟相手の会社社長の「土地の売買は仮装であっ
た」との証言に飛びついて、組合と山根さん達に対する査察に着手した
のです。


 おかしいと思いませんか。だって、民事裁判で土地の売買は仮装では
なくて有効だと判決がでているのに、土地の売買は仮装だということで
法人税法違反の嫌疑がかけられたんですよ。民事裁判の判決なんて関係
ないと広島国税局は考えたんでしょうね。そして、この後の松江地裁刑
事部は、土地の売買は仮装ではないとの判決を出しているんです。


 この間、組合は収用による圧縮記帳の処理を圧縮記帳引当金という経
理・税理処理をし、賃料支払裁判の相手方への未収地代を貸倒損失とし
て処理して申告していたのでした。これは、通常の経理処理ですし、組
合の申告書にも決算書にも記載されているので、税務署や国税局もすぐ
にどういう処理をしたのか分かっているんです。貸倒損失などは、決算
書に記載しようものなら、本当かどうかすぐに税務調査の連絡が入る訳
ですし、圧縮記帳引当金の戻し入れを忘れていることなども申告書・決
算書をみれば税務署入りたての新人でも分かることなんですが、国税局
はいきなり査察に入ったんです。正確には、資料調査課が税務調査に入
り、そのまま査察に入れ替ったのでした。


 また、査察に入った平成5年9月までに、千葉の土地で相手の社長と
もめた為か、組合は平成4年5月で解散をしているんですね。解散した
としても、残った財産や債務を整理しなければならないんで、組合は生
きているんですね。もちろん、解散を止めてまた活動を再開することも
できるんですね。そして、圧縮記帳引当金は、解散する事業年度に戻し
入れをして益を計上しなければならなかったのを山根さんは失念してし
まったんです。山根さんは圧縮記帳引当金を解散の時ではなくて、清算
が終了する時に戻し入れればいいと誤認されていたのです。税法の規定
は複雑で、圧縮記帳もよくあることでもありませんし、解散の税務も通
常とは変わっているので勘違いしてもやむを得ないと考えられるんです
が、この誤認識が「脱税を意図した行為で懲役刑に相応しい」と検事が
起訴し、裁判所も検察を支持して有罪判決を出したんです。もう、みん
なぐるみですね。


 更に、組合は財産の処分の為に土地の売却をしなければならなくなっ
ていたのですが、組合所有の土地の中に農地があったんですね。それで
、その農地を山根さんが買い取ることで組合関係者とも話しがついたん
ですけれども、農地は農地法上その取得者は制限されていて、ある一定
以上の農地を保有している人しか所有者として所有権の移転登記ができ
ないんですね。それで、組合の組合長さんが農業をやっていたんで、一
旦、組合長名義で所有権の移転登記をすることになったんです。


 相続で農地を相続した場合には、そんな農地保有の制限など関係なく
所有者としての登記ができるのですが、売買の場合には、農地保有の制
限があるのです。これは、よくある話しで、農地を売買したが、所有者
がある一定以上の農地を保有する者でない場合、所有権移転登記をしな
いで、旧所有者の名義になったままの場合もよくあります。今回の場合
、組合は解散するので、農地の所有者の名義をそのままにしておくこと
はできなかったのです。財産を全て換金しないと清算結了(完全に組合
がなくしてしまう登記のこと)できないのです。


 さあ、そしたらです。農地の所有者の名義を組合の組合長さん名義で
登記したのですが、このようなことはままあることで、このような農地
の登記を行ったからとして起訴されたことは、昭和27年の農地法施行
後全くなかったのです。しかし、山根さん達の場合には、公正証書原本
不実記載罪・同行使罪で起訴されたのです。つまり、農地法始まって以
来の起訴であり、しかも、懲役刑に相応しいと判断されることになるの
です。この場合、起訴されたのは、山根さんと組合の組合長さんです。
この虚偽登記で、二人とも懲役刑が確定したのです。


 更に、組合の清算の為に組合所有の土地の売却を検討していたのです
が、千葉の土地の一部に権利証のない土地があったんです。その対策を
司法書士さんが考えたんですね。つまり、保証書を作成すれば、権利証
がなくとも所有権移転登記ができるらしいのです。(詳しく知りません
が)そこで、登記実績を作ると保証人になれるらしく、所有権移転の登
記をしたい土地の所在する法務局と同一の法務局において、登記の実績
のある人が二人いれば保証人の要件を満たすそうなんですね。そして、
この便法を用いた登記手法は、司法書士の間では慣例化していたそうな
んです。そして、不動産取引が広域化する中で、全国どこの法務局で登
記実績のある者でもよいことに不動産登記法が平成5年に改正されたそ
うです。


 しかし、司法書士さんはその不動産登記法の改正を知らなかったせい
か、一旦、権利証のない千葉の土地に賃借人として実体のない賃借権仮
登記を設定し、数日後に抹消するという方法を考えたのです。そして、
司法書士に薦められて、山根さんの奥さんと山根さんの事務所の職員さ
んの名義で賃借権仮登記が行われたのでした。これは、実際に虚偽の賃
借権の仮登記なんですね。この登記のやり方を薦めた当の司法書士さん
は、参考人程度で話を聞かれることはあっても、なんの処分も受けてい
ないんですね。この場合の公正証書原本不実記載罪・同行使罪では、山
根さんと組合長さんと山根さんの事務所の事務員さんが起訴され懲役刑
の有罪判決が下りたのです。この事務員さんは、司法書士さんと山根さ
んの間で、書類を渡したりしただけですが、やはり、賃借権仮登記の当
事者なので起訴されたのです。

 以上のように、査察が入るまでに、解散・圧縮記帳の戻し入れ失念・
貸倒損失の計上・農地の所有権移転登記・賃借権の仮登記と抹消などの
行為があったのです。そして、これらの事実を確認した上で、平成5年
9月に査察が行われ、法人税法違反の嫌疑がかけられたのです。まだ、
この段階では、検察は動いていません。


 さあ、平成5年9月の査察ですが、通常、査察が行われた場合三ヶ月
以内に検察庁に告発するそうなのですが、今回の場合、広島国税局は平
成8年5月の公訴時効満了まで、刑事告発できなかったのです。この平
成5年9月から2年半以上検討しても、広島国税局は法人税法違反で刑
事告発できなかったのですが、これには裏がありそうです。


 なぜならば、平成8年1月26日松江地検が強制捜査に着手したので
す。つまり、国税局は土地の売買が仮装であるという理由で脱税があっ
たと告発できないでいたんですね。それもそうですよね。平成5年9月
に民事裁判で、松江地裁民事部は土地の売買は実体があるという判決を
出して確定している訳ですから。そこで、想像ですが、普段から顔なじ
みの国税局職員と検事ですから、国税局職員が検事になんとか有罪にな
る方法はないのか相談したのではないでしょうかね。


 そして、山根さんや組合の不動産登記を調べていたんでしょう。それ
で、平成8年1月26日に松江地検が山根さん・組合の組合長さん・山
根さんの事務所の職員さんの3名を、公正証書原本不実記載・同行使罪
で、まず別件逮捕し20日間勾留後、山根さんとその事務員さんが起訴
されました。更に、法人税法違反容疑で5名を再逮捕し、更に20日間
勾留した上で、山根さんと組合長さんは追起訴されたのでした。


 山根さんは、脱税の容疑を完全否認されたため、検察官が裁判で立証
が終わるまでの291日間勾留されたのです。今更、証拠隠滅などでき
ないのに、保釈請求を検察は認めなかったんです。資料はみんな出揃っ
ているんですから、保釈しても何の不都合もないはずです。中村弁護士
さんは、刑事事件でよくある「人質司法」の実体だ、と言っておられま
した。権力の乱用ですね。


 一審の松江地裁の裁判は、この後平成11年5月13日に言い渡され
るのですが、平成8年1月26日の逮捕を見越した国税局の行動がある
のです。つまり、平成5年8月に査察に着手しながらも、この逮捕の直
後の平成8年3月25日に組合に対して更正処分をしてきたんです。査
察から2年半以上も経ってから、刑事告発はせずに更正処分という行政
処分をしてきたのです。なんと、逮捕とタイミングがピッタリなのでし
ょう。山根さんは、拘置所でいないのですよ。その間を狙って更正処分
をしてきたのです。そして、同じく平成8年3月には組合の青色申告取
消処分をしているんです。


 さあ、みえみえではありませんか。この行政処分に対しては、平成8
年4月23日に青色申告取消しに対する異議申立てを行い、平成8年1
0月24日に審査請求をされています。また、更正処分については、平
成8年5月20日に異議申立てを行い、平成8年12月2日に審査請求
をされています。


 これは、多分中村弁護士さんがされたのではないかと思います。山根
さんは、拘置所の中ですから、全く動けない訳です。これらの、国税不
服審判所への審査請求の後、一審の裁判が進むことになるのです。この
審査請求は、最高裁に上告している最中に結論が出ました。なんと、税
務署の処分は全部取り消されたのでした。これで、最高裁の判断にも期
待が持てるようになったのですが、結果は後ほど。


 まず、松江地裁に起訴された人と罪状を確認しておきましょう。

山根さんは、法人税法違反(理由@土地の購入は仮装であり、土地購入
に関する圧縮記帳で損金処理したことは脱税A貸倒損失により損金処理
した事実が誤まっており脱税)、公正証書原本不実記載・同行使(理由
@農地の売買で、組合長を所有者として虚偽の登記をしたA賃借権仮登
記が虚偽であったこと)です。


 組合長さんは、法人税法違反(理由@Aは山根さんと同じ)、公正証
書原本不実記載・同行使(理由@農地の虚偽登記)です。


 山根さんの事務所の職員さんは、法人税法違反は起訴猶予でしたが、
公正証書原本不実記載・同行使(理由A賃借権仮登記の虚偽登記)で、
松江地検から松江地方裁判所(一審)に起訴されました。


 つまり、まず、平成8年1月26日に山根さん、組合長さんと他の役
員1名、山根さんの事務員さんの計4名を公正証書原本不実記載・同行
使罪で逮捕し(弁護士さんは別件逮捕と言っており、私もそうだと思い
ます)20日間勾留し、山根さん、組合長さん、山根さんの事務員さん
の3名を起訴したんですね。それで、その後に法人税法違反で再逮捕さ
れて、山根さんと組合長さんが起訴されたんです。メインの法人税法違
反の容疑が後なのです。そして、この法人税法違反容疑では、圧縮記帳
引当金の戻し入れのミスや貸倒損失の計上ミスを追加材料としていたの
です。


 山根さんは、逮捕以来一貫して脱税を否認され通したので、291日
間勾留されてしまったのでした。約10ヶ月間も勾留されれば、業務は
できなくなる訳ですし、逮捕後に組合への更正処分が行われたりしたら
、通常はまったく対応ができないであろうし、クライアントの離脱等で
会計事務所は崩壊してしまうのですが、山根さんの場合、中村弁護士さ
んと以前より親しくされていたので、更正処分に対する異議申立てや審
査請求が可能となったのだと思います。この一連の不服申立ての手続き
をしていたからこそ、後日、更正処分が全て取り消されたのでした。不
幸中の幸いとなったのです。押収されていたお金が全額返金されことは
言うまでもありませんが、なんと、誤まって徴収した場合に返還してく
れる利息のような還付加算金が3,000万円支払われたそうです。で
も、いくら3,000万円をもらえたからと言って、冤罪をかぶせられ
てはたまったものではありませんね。


 さて、第一審の松江地裁ですが、検察は、土地の購入は仮装であり、
その仮装した土地の購入による圧縮記帳による損金処理は脱税だと決め
付けました。つまり、千葉の土地の売買代金は16億5,000万円で
すが、土地の売主である陸中物産は、当面資金の必要性はなく、4億円
のみ受取り、残りの12億5,000万円は山根さんの主催する法人に
預けており、その12億5、000万円の内10億円が千葉の土地の購
入者の組合に貸し付けられたので、結果、山根さんの主催法人に2億5
,000万円残ることになりました。組合は、16億5,000万円で
千葉の土地を購入したのですが、資金は、6億5,000万円しか出て
いかなかったことになります。お金は、陸中物産へ4億円と山根さんの
主催する法人へ2億5,000万円移動したことになります。


 検察は、この資金の移動を見て、山根さんへ6億5,000万円の脱
税指南料を組合が払い、陸中物産への4億円は山根さんからの脱税協力
金だと朝日新聞の記者には話していたのですが、一審の裁判の中では、
貸付金だと主張したり、控訴審(高等裁判所での裁判)では、また、脱
税協力金だと主張しており、検察の迷走状態が続き、千葉の土地の売買
が仮装であるとは、根拠のない決め付けだということを露呈することに
なったと、中村弁護士さんは言っています。


 この一審判決でも、土地の売買は仮装ではないと判断されましたが、
検察の事実認定を一部認める判決を下しました。しかし、広島高等裁判
所では、土地の売買は有効で実体があり、収用された場合に替わりの土
地を購入して、圧縮記帳により損金処理したことは違法ではない、と判
断しています。この組合の圧縮記帳による損金処理が金額的に大きくて
、その原因となる土地の取得が仮装だから、圧縮記帳引当金による損金
処理が脱税だとして起訴さていたんですが、この主要な部分については
、全員が一審でも無罪、高等裁判所でも無罪となり、検察も上告しなか
ったので、無罪が確定しました。


 つまり、一番大口でメインの事件について無罪となった訳です。当た
り前と言えば当たり前ですよね。千葉の土地については、国税局の査察
が入る以前の民事裁判で、土地の売買は実体があるという判決が出てい
ますし、その後の別の民事裁判でも、土地の売買は有効だと裁判所は判
断しているのですから。しかし、国税局は査察に入りましたし、松江地
方検察庁の主任検事(当時)である藤田検事正は、取調べ中に、組合長
さんに対し「民事事件の判決など関係ない。証拠の量と質が圧倒的に違
う。我々は、特捜部のようなものだ。中村弁護士が何と言おうと、おま
えらの有罪は間違いない。」と豪語していたそうです。


 また、検事の逮捕理由は、公正証書原本不実記載・同行使罪ですが、
取調べの内容はほとんど千葉の土地の購入が仮装かどうかであったそう
です。しかし、土地の売買は有効であり仮装ではないと高等裁判所でも
判断されたということは、課税処分ができない事案を刑事罰を課する刑
事事件で起訴したことになり、無責任極まりない起訴だと判断されます
。不当な課税処分も納得いきませんが、税法的な見解を戦わせることは
できます。しかし、民間人を刑務所に収容する刑事事件で、こんなズサ
ンな起訴をされてはたまったものではありません。


 平成11年5月13日に一審の松江地裁の判決が下りました。千葉の
土地の仮装売買については無罪となったのですが、圧縮記帳引当金を戻
し忘れたことと、貸倒損失の計上時期は早かったこと、が法人税法違反
であり、脱税を目的とした行為だと判断されました。つまり、懲役刑を
課して相応しい罪だと松枝地裁は判断したのでした。また、広島高等裁
判所松江支部も一審判決を支持しました。そして、松江地裁も広島高裁
も、懲役刑を課すことは不当であるという中村弁護士さんの主張に全く
反論しないままで、犯罪(ほ脱罪)者として懲役刑を課する要件は成立
していると結論を言うのみでした。全く弁護人の主張に反論しないので
すから、何故脱税目的が成立するのか全くわからないのです。

 通常でしたら、圧縮記帳引当金を戻し入れていなかったことは、決算
書や申告書を見れば一目瞭然ですし、税務調査で指摘さる(電話一本で
終わりますね)ことになるのですが、山根さんはいきなり別件逮捕とな
ったのでした。また、貸倒損失が適正がどうかも、決算書をみれば貸倒
損失の事実は税務署員1年生でも分かりますし、その貸倒損失が妥当か
どうかは、税務調査(任意調査)で検討されるべきことですし、現実に
、1件の貸倒については、租税債務も徴収できない状況であり、残り1
件も保証の存在を失念していただけなのです。それでも、脱税を目的と
していた(ほ脱罪)罪は成立するとして、松江地裁も広島高裁も有罪判
決(懲役刑)を下したのです。

 この貸倒損失の計上が、懲役刑を課するに相応しいとして起訴された
ことは今まで一度もない、と中村弁護士さんは、異常で非常識な判決に
ついて説明をされていました。税金の実務の上でも、非常識極まりない
判決だとしか言いようがありませんね。


 起訴したら、なにがなんでも有罪にするのだ、という検察の面子がみ
えみえですね。そして、その検察の起訴を支持する裁判所も、法律家で
はなく、単なる事勿れ主義の公務員になり下がってしまったと感じてし
まいます。なにせ、何故犯罪になるのか判決では説明していないのです
から。中村弁護士さんの主張に全く反論していないのですからね。いっ
たい、この日本はどうなってしまうのでしょうか。


 さて、一審では、法人税法違反以外に、農地の虚偽登記についても公
正証書原本不実記載・同行使罪が成立するとして、山根さん、組合長さ
んが有罪になっています。この農地の便宜上の登記が、懲役刑に相応し
い罪になるとして有罪になりました。この件についても、一審及び控訴
審は、弁護士さんの主張に対し具体的な反論をせずに形式的に有罪判決
(懲役刑)を下したのでした。一般常識からすれば、罰金刑で十分と思
われる事件でも、検察が刑事事件で起訴すれば、そのまま懲役刑の判決
が下りてしまうようです。この農地の登記についても、今まで一度も起
訴されたことはないそうです。

 また、虚偽の賃借権仮登記についても、発案した司法書士は何のおと
がめもなく、登記の実務など全く知らない山根さんや、司法書士との連
絡を取り次いだ山根さんの事務所の職員さんは、懲役刑を課することが
相応しいとして有罪判決が一審で下され、高裁も一審を支持したのでし
た。単に、保証人になるためにした賃借権の仮登記ですよ。他にも同様
のやり方で保証人を作る事実は山ほど存在していたのに、検察に起訴さ
れた途端、懲役刑に相応しい罪になるのです。なんか、検察も裁判所の
刑事部も犯罪者を作らないと気が済まないと思っているんじゃないでし
ょうか。そう思うのは私だけでしょうか。


 さて、以上のように一審の有罪判決を支持した高裁の判決が平成13
年6月11日出たので、中村弁護士さんは最高裁判所に平成13年6月
12日上告されました。そして、平成13年8月31日に上告趣意書を
提出され、平成14年9月9日には上告趣意書補充書を最高裁判所第一
小法廷に提出されたのでした。

 この上告趣意書には、わが国の税法学者3名と元裁判官で元大学教授
の弁護士1名の鑑定書を添付されており、日本大学法学部名誉教授の北
野弘久先生は、この事件について、「偽りその他不正の行為」も「故意
」も存在しないと述べ、「本件には法人税法159条1項違反に問われ
なければならない事実なるものは全く存在しない。後に税法学的に詳細
に明かにするように、本件は税法および税法学への無知から生じた不幸
な事件である。まことに世に奇怪な冤罪である。」と、鑑定書で述べて
います。


 そして、最高裁に上告中の平成15年3月11日に、税務署の更正処
分を全部取り消す国税不服審判所の裁決が下されました。法人税・加算
税・延滞税・付随する地方税まで含めると20数億円の更正処分が全部
取り消されたのでした。この審判所の全部取消しの裁決は、最高裁判所
の判断に影響するものと考えられましたが、結果は違いました。


 平成15年9月18日に、最高裁判所第一小法廷は、上告を棄却する
決定をしました。つまり、有罪判決が確定したことになるのです。執行
猶予付きですが、懲役刑が確定することになりました。要するに、門前
払いで何も検討しません、高等裁判所の判決を支持します、という最高
裁の結論です。中村弁護士さんによれば、「最高裁は全く弁論を開かず
に上告を棄却する決定をし、その判断過程について全く理由を述べない
ままの判決は極めて不当だ」と自身のホームページで述べています。ま
た、これが刑事裁判の現状で、司法改革が急務だともおっしゃっていま
す。私も、裁判員制度を取り入れ、国民の一般常識を温室隔離育ちの裁
判官に教えてやらねばならないと思います。山根さんは、懲役1年6ヶ
月・執行猶予3年が確定し、公認会計士・税理士として業務ができなく
なりました。つまり、執行猶予期間を経過するまでの3年間、税理士業
務を行うことができなくなったのです。一人の会計人が社会から抹殺さ
れました。

 さあ、みなさん。これまでの益田市畜産組合事件の経過を読まれて、
どう感じられたでしょうか。私は、戦時中の「治安維持法」を連想して
しまいました。つまり、国家の考えと相反する思想を持つ国民を次から
次へと監獄に送り込んだ天下の悪法のことです。わが国には、治税維持
法が施行されているのでしょうか。私には、この益田市畜産組合事件は
、国民へのリンチを合法化した公務員の暴力としか思えません。


 みなさん。「自分は関係ない」と、お思いですか。ここまで明らさま
に犯罪者を作ってしまうのですよ。「あいつを落とし入れてやれ」と、
狙われたたら最後ですよ。どんな些細な税務上の判断ミスも、検察に起
訴されたら、必ず有罪判決が待っていることになるのです。しかも、懲
役刑です。しかも、何の弁論もなしです。


 こんな不幸で残忍で悲惨な事件は、二度とあってはならないと思いま
せんか。私は、一人でも多くの方に、この益田市畜産組合事件の事を知
って頂き、一般常識や税務上の常識を大きく逸脱した起訴や裁判に対し
、警鐘を鳴らして頂きたいと考え、このHPで取上げました。是非、中
村弁護士さんのHP(
http://ww35.tiki.ne.jp/~club/)も覗いてみて下さ
い。事件の詳細な経緯や、検事・裁判官の実名が分かります。


 最後に。思いがけず、山根さんご本人からお手紙を頂きました。山根
さんは、「国家暴力」とも言える今回の事件の経緯を実名で世間に公表
されるそうです。みなさん、山根さんの情報に出会いましたら、是非、
目を向け耳を傾けて下さい。


以上