タックスエンターテイメント小説 〜

「税務調査最前線」

第7話『こいつら取調室だな』17章

 (〜ウソ言ってんじゃないよ!〜)

 

(多田税理士は、税務署の任意調査の限界をホームページで解説し、多くの税理士・納税者に知ってもらおうと一人苦悩していた。誤字脱字など気にする余裕もなく、ホームページの書き込みを続ける多田税理士であった。)

 

 12月27日、多田税理士は、自分の経営コンサルタント会社の非常勤取締役の元野氏の話しを思い出していた。やはり、官は民を下に見る傾向があるようだ。

 

 元野氏と多田税理士は、あるセミナーで知り合ったのだが、そのセミナーは心を肌かにしてしまうもので、お互い心の肌かを見ているので、旧知の間柄になっていたのだった。

 

「そうだ。公務員の思い上がりを書いてやろう。黒石イットウも随分なことを言っていたからな。よし。」

 

○平成141227

 公務員は、地方公務員であれ国家公務員であれ、国民全体の奉仕者であり、国民の公僕なのではないでしょうか。確かに、税務署員は、真面目に仕事に取り組んでいます。しかし、そんなことは当たり前なのであり、警察官もそれこそ本当に命がけで国民の生命と財産を守っているんです。

 

 当社の非常勤の取締役の元野秀泰氏は、熊本県警の元刑事で、現在は、経営コンサルタントとして活躍しており、当社の法律顧問的な存在なのです。

 

 その元刑事の彼は、公務員時代のことを時々話してくれるのですが、彼の公務員への感想としては、「国や県から、特別に認められた人間だと思い上がっている面がある」と、漏らしていたことがあります。

 

 確かに、公の仕事ですし、使命感や正義感を持って仕事に当っておられると思います。しかし、「自分は特別だ」という思いが、「官は民を下に見る」ことになっては、本末転倒なのではないでしょうか。

 

 そして、彼は、「公務員は、何か不祥事があると隠そうとするし、発覚した事件でも時間が経ってうやむやになるのをよく知っている。」とも言っていました。今回も、そうなのでしょうか?

 

(余談ですが、「元刑事が経営コンサルタントなの?」と、疑問に思われると思います。でも、事実なんです。平成14年12月28日にフォレスト出版から「売れるチャンスは現場にあり!」が出版されました。)

 

 さて、今回の所得税の調査では、事前通知なしで、いきなり訪問しておきながら、息子が用事があって外出したことに対し、息子Aの証言によれば、「社長はそもそも初日から逃げていたよね。」と黒石イットウ(統括官)にイヤミを言われました。これは、「税務署が調査に来たのに外出するとはけしからん」と、言っているのと変わりませんね。

 

 任意調査の場合には、調査に協力すればいい訳で、なんら強制できないんですよ。我々国民は、任意調査を受ける義務はありますが、それは、納税者の了解や承諾を必要とするんです。捜索令状で強制的に調査が行われている訳ではないんです。

 

 息子のAは、税務(任意)調査に協力しているのに、用事があって外出したら「逃げた」と面と向かって言われたのです。国民を侮辱しバカにしている言動ではないでしょうか。税務署員は、自分達を警察官だと勘違いをしているのではないでしょうか。

 

 今回、以上のような言動が行われているということは、過去にも同じようなことがあったと思って不思議はないでしょう。そして、未来においても、同じことが起きることは充分予測がつきます。今回の息子のAに対する発言は、たまたまでしょうか。そんなことは誰も信じませんよね。

 

 更に、「売上金を直接自分の懐に入れてんじゃないの。」とまで言われているんですよ。証拠もなしに、憶測だけでこんなことを言っていいものでしょうか。これが、税務署の質問なのでしょうか。事実関係の説明を求めることが質問であって、誘導尋問的、かつ、侮辱的発言は、税務署員に認められた質問ではないと思いますが、みなさんいかがお考えになるでしょうか。

 

 

 公務員は、率先して法律を守るべき存在だと思います。だからこそ、任意調査の場合でも、法律の範囲内での行動・言動であるべきではないでしょうか。国民から尊敬される公務員であってほしいものです。ムリカ?

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 多田税理士が、ホームページの書き込みを終えた直後、ある納税者が電話をしてきたのだった。それは、怒れる納税者からの電話であった。

 

 多田税理士は、この納税者からの電話の内容もホームページに掲載することにしたのであった。

 

○平成141228

 息子A夫妻の証言によれば、黒石統括官から「父親は、年間300万円の売上を7年間ゴマカシていただろう。認めろ!」と、執拗に要求されました。納税者A夫妻は、まったく見に覚えがないと言っているにも拘わらず、証拠も提示せず無理やり認めさせようと、何度も迫ってきたのです。

 

 亡くなった人が、どうして反論、弁明できるでしょうか。亡くなった人しか知らないことを、遺族に無理やり力ずくで認めさせて税金を巻き上げる行為が、尾戸巣税務署の税務調査の方針なのでしょうか。

 

 当方に、電話をくれた方の中には、「死人にまでムチ打つ行為だ!!許せん行為だ!!」と、憤慨されておられる方もいらっしゃいました。

 

 

 亡くなった人を侮辱し、遺族を精神的に苦しめてでも税金がほしいのでしょうか。正気の沙汰とは思えません。そう思いませんか、みなさん。

 

 みなさんが、「お前の父親は、売上をゴマカシていただろう。認めろ!」と、言われたらどんな気持ちになりますか?税務署とは、納税者を恐怖に陥れ、故人を侮辱しバカにし、遺族の気持ちを踏みにじってでも税金がほしいのでしょうか。

 

 では、黒石統括官が死んだら、遺族に対し、「お前の父親は、税務署時代に納税者を大声で怒鳴りつけ、机を叩いて脅かして税金を取りたてていたんだぞ。」と、言いたくなります。

 

 日々、任意調査の限界を感じながら、工夫に工夫を重ねて調査に当っている、多くの税務署員に対し、何と弁明できるのでしょうか。

 

 やはり、刑事告発される税務署員が複数人でも出ないことには、今回のような任意調査のやり方が変わることはないのでしょうか。

 

 全国津々浦々で、今回のような、納税者を恐怖に陥れ、屈辱感を強いる税務調査が行われている気がしてなりません。悪質で無謀な税務署員については、氏名と所属を未来永劫に渡り、税理士登録してからも公表し続けることをしないと、適法な税務調査の実現はできないのかもしれないですね。

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 多田税理士は、今回のような悪質な税務調査に今まで出会ったことがなかった。確かに、税理士の目の前で、税務署員が納税者を怒鳴り散らすことはめったにないのであろう。しかし、税理士の前だからと言って、絶対に乱暴な発言がないとも言い切れない。

 

 税理士の調査立会いの意味としては、さほど重要なものとは思われなかったが、納税者の人権と財産を不当な税務調査から守るということについては、非常に意義深いものである。

 

 多田税理士は、課税の公平を図る税務調査であるにも拘わらず、課税の不公平を自ら推し進める黒石統括官達のやり方に深い疑問と怒りを覚えていた。しかし、それと同時に、ホームページの書きこみを続けることについての恐怖感も感じていたのであった。次回も、悪質な税務調査に対抗する情報を満載します。


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