〜 タックスエンターテイメント小説 〜

「税務調査最前線」

第4話 『タレコミだな!』2章

 (〜こんなことは許されないぞ〜)

 

 前回1章のあらすじ

 

(多田税理士の顧問先二社に、同時に税務調査が行われようとしたことに、びっくりしてしまった多田税理士は、沖山税理士に対応の秘策を聞いて少しは安心していたが、活タ藤商会に税務調査に来ていた、山本調査官は、とんでもない行動にでようとしていた。)

 

 山本調査官は、活タ藤商会の社長に、こう切り出すのであった。

 

「社長、税理士さんが来るまで待ってたら仕事になりませんよ。税務調査を始めますから、過去3年間の元帳を出して下さい。早くして下さい。」

 

なんと、山本調査官は多田税理士が来る前に、税務調査を始めようとしたのであった。

 

通常、税理士と顧問契約をしている会社の税務調査には、税理士が立ち会うことになっており、税理士が立ち会うという意思表示をした場合、税務署員は待っているものである。

 

今回は、税理士の到着を待たずして、税務調査が始まろうとしていたのである。

 

安藤社長は、税理士が来るまで待ってくれるように、山本調査官に話すのだが、まったく聞こうとしない山本調査官は、早く元帳を出してくれの一点張りであった。

 

安藤社長も根負けして、3年間の元帳を出すように女性事務員に指示を出したところに、山本調査官はとんでもないことを言い出すのであった。

 

「事務所にいる皆さん。今から机に触れないで下さい。一人ずつ机の引き出しを空けて中を見せて下さい。いいですね。じゃあ、あなたから見せて下さい。」

 

なんと、山本調査官は、いきなり女性事務員の机の引出しを空けさせようとしたのである。

 

女性事務員は、「この引出しは私物が入ってますから、ちょっと・・・・・」と、引出しを空けるのを戸惑っていると、突然、山本調査官は、事務所中に聞こえる大きな声で話しだすのであった。

 

「私物かどうか空けて見なくちゃ分からんじゃないか。それとも、見せちゃ困るものでも入ってるんじゃないのか。」

 

「いえ、そんなことはありませんが・・・」と、か細い声で、震えながら返事をする女性事務員であった。

 

その頃、多田税理士は、沖山税理士の話を整理していた。

 

「よし、まずは、安藤商会の山本調査官に電話をしよう」と思い、活タ藤商会に電話をかけようとしていたのである。

 

 活タ藤商会の電話のベルがなり、女性事務員が、電話器をとった。

 

相手が、多田税理士であることが分かると、今にも泣き出しそうな声で話しだすのであった。

 

「先生、私の引き出しを税務署の方に見せなきゃいけないんでしょうか。知らない男の人には見せたくないんですけど。どうしても、見せろと税務署の方がおっしゃるんです。先生、どうしたらいいんですか。」

 

この女性事務員の話には、びっくりしてしまったのは多田税理士であった。顧問税理士の自分が到着する前に税務調査を始めようとしていることに、憤慨した多田税理士は、急いで調査官を電話に出すように、女性事務員に伝えたのであった。

 

多田税理士は、怒りで電話の受話器を力いっぱい握り締めていた。多田税理士は、心の中で「ふざけやがって〜〜。この野郎お〜〜。ただじゃ済ませないぞ」と叫んでいた。

 

やがて、山本調査官が電話にでたのである。

 

多田税理士は、「あなたなんのつもりだね。顧問税理士が来る前に税務調査を始めたのか。納税者から税務調査の立会いの委任を受けている顧問税理士が到着する前に調査を始めるとは、どういうことなんだね」と、山本調査官に迫るのであった。

 

「いやあ、先生がいつ来られるか分からないもんで、こちらとしても、時間の無駄は避けたいですので、ご協力していただこうと、お願いしていたところなんですよ。まだ、税務調査は始めていませんよ。」

 

先ほど、事務所で大声を出していたことが嘘のような、猫なで声で、多田税理士に電話で話すのであった

 

安藤社長は、「なんだ、この人は、さっきとまるで話し方が違うじゃないか。俺たちに接する態度と、税理士の先生に接する態度がまったく違うじゃないか。どうなっているんだ。」と、困り果てていた。

 

もちろん、税理士だろうと納税者だろうと、国家公務員である税務署員が、高圧的に話しをしていいはずがないのである。納税者と税理士の無知を知っての、税務調査のやり方である。

 

おとなしい税理士さんは、税務署の言うことはすべて正しいと思い込んでいるところはあるだろう。

 

しかし、通常の税務調査は、納税者の承諾を得て、帳簿を調べたりすることができるのであって、高圧的な言葉や態度で、納税者に接して良いということではないのである。

 

多田税理士は、沖山税理士から教わった内容を山本調査官に電話で話すのであった。

 

「われわれ税理士は、納税者から税務調査立会いの委任を受けているんです。われわれ税理士は、申告書に委任状をつけて出している以上、税務調査に立ち会う権利があるんです。一度に2箇所の税務調査が行われても、税理士が一人の場合、調査の立会いができなくなってしまうじゃあないですか。」

 

「あなたがたは、税理士の調査立会権を侵害するんですね。もし、そうだったら、しかるべき手段をとって、ことを公にしますからね。」

 

「兎に角、調査は受けるから、一箇所で調査して下さい。これから、桜井商事の帳簿類をそちらに持って行きますから、それまで待っていて下さい。」

 

多田税理士の話を受け入れ、活タ藤商会一箇所で税務調査をすることに同意した山本調査官であった。

 

しかし、活タ藤商会では、またもや、とんでもない事態が、発生してしまったのである。

 

そうです、まったく信じられないことが起こってしまったのです。その驚愕の事実とは・・・・。

 

次号3章をお楽しみに!

1章へ戻る
3章へ